AIの電力消費とデータセンター ―発電方法の組み合わせと、光電融合・液体冷却による半導体の省電力化


結論:AIの未来は「いかに少ない電力で計算できるか」で決まる

AIの利用が広がるほど、発電所や送電網の整備が必要になります。原子力を含む複数の発電方法を組み合わせることが重要ですが、それだけでは十分ではありません。光電融合や冷却技術など、半導体そのものを省電力化する技術が、AIの未来を左右します。

質問1回の電力と、世界全体の規模

OpenAIのサム・アルトマン氏が2025年に公表した数字では、ChatGPTへの質問1回の電力量は平均約0.34Wh。10WのLED電球を約2分間点灯させる程度です。しかし、世界中で何億人もの人が利用し、新しいモデルの学習にも膨大な計算が行われています。国際エネルギー機関(IEA)の予測では、2030年に世界のデータセンターが使う電力量は、東京都全体の年間電力使用量の約12倍とされています(AIだけでなく、一般のクラウドサービスを含むデータセンター全体の数字)。

国内でも、東京電力の管轄エリアで計画されているデータセンターの接続枠を基にすると、将来的には東京都全体の消費量に匹敵する可能性があるとの試算があります。

発電所に換算すると約70基以上

世界のデータセンターで今後増える電力需要を100万キロワット級の発電所に換算すると、おおよそ70基以上に相当します。

| 発電方法 | 強み | 課題 |
|—|—|—|
| 原子力 | 天候に左右されず、安定して大量の電力を供給できる | 安全性、廃棄物、建設期間、コスト |
| 太陽光・風力 | CO2をほとんど排出しない | 発電量が天候や時間帯に左右される。蓄電池・送電網の整備、安定電源との組み合わせが必要 |

増加分の3割を原子力で賄う場合は20基、5割なら約35基が必要になる計算です。実際には太陽光、風力、天然ガス火力、水力なども組み合わせることになり、原子力を含む複数の発電方法の組み合わせが重要になります。

電力そのものを減らす光電融合

東京科学大学の次世代半導体エコシステム共創センター設立記念シンポジウムで注目したのが「光電融合」です。現在の半導体は金属配線で電気信号をやりとりしますが、高速・大量のデータ伝送では配線の抵抗や信号損失が大きくなります。AIではGPUを大量につないで計算するため、GPU間の通信にも大きな電力が必要です。

そこで、光通信を半導体の近くまで持ち込み、GPUの間だけでなく半導体パッケージの中にも光を使う研究が進んでいます。すべてを光に置き換えるのではなく、電気が得意な部分は電気、光が得意な部分は光を使う。AIの進化には、計算能力だけでなく、情報をいかに効率よく運ぶかが重要です。

冷却技術と省電力化を同時に

AIに使うGPUは大量の熱を発生するため、データセンターでは強力な冷却が必要です。空気よりも効率よく熱を運べる特殊な液体で半導体を冷やす方法が普及し始めています。ただし、液体の循環にも電力が必要です。半導体の省電力化と冷却技術の改善を同時に進めることが求められます。

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