能力は足し算ではなく掛け算 ―技術力・対人能力・発信力の組み合わせが技術者の強みになる


一つの能力で突出するのは難しい

一つの分野を徹底的に極めてプロフェッショナルになることは、素晴らしい生き方です。しかし、それは非常に難しいことでもあります。

正規分布では、平均からの離れ方をシグマという単位で表します。平均より3シグマ以上高いところにいる人は約740人に一人、偏差値でいえば80以上です。それだけ突出した能力を一つ持つのは、簡単なことではありません。

能力は掛け算で考える

そこで私が考えているのが、能力の掛け算です。偏差値55は上位約31%、つまり約3人に一人です。技術力、対人能力、発信力がそれぞれ偏差値55であれば、どれも突出しているとはいえません。しかし、能力が互いに独立していると仮定して計算すると、3つすべてを持つ人は約34人に一人になります。

偏差値60(上位約16%、6人に一人)の技術力、対人能力、発信力、企画力の4つがそろえば、約1570人に一人。3シグマの約740人に一人よりも珍しい組み合わせです。

もちろん、これは能力同士が独立していると仮定した確率の計算です。実際の能力は互いに関係しており、珍しさがそのまま仕事の価値になるわけではありません。それでも、一つの能力で突出するのが難しくても、いくつかの能力を組み合わせることで自分だけの強みを作ることはできます。

企業で重宝される技術者

学校では、勉強ができる人が評価されやすい傾向があります。しかし実社会では、それだけではありません。技術的な知識をそこそこ持ち、人の話を聞くのが上手で、内容を分かりやすく説明できる人は、企業の中で非常に重宝されます。技術力だけならより優秀な人がいるかもしれませんが、技術力とコミュニケーション能力の両方を持っていることに価値があります。

研究・現場・経営の視点を掛け合わせる

私自身、研究者として飛び抜けているとは考えていません。ただ、大学教員になる前に26年間企業で働き、製造現場と営業を経験しました。アメリカの大学で研究し、その成果をお客様に届けた経験もあります。現在は大学教員として学生の話を聞き、気持ちに共感することを大切にしながら、La quaLab を経営し、営業から請求、決算、税務申告まで自ら行っています。

研究者と経営者、2つの立場を持つことで、研究として面白い技術が本当にビジネスにつながるのかを常に考えるようになりました。一つ一つを見れば私より優れた方はいくらでもいますが、これらを掛け合わせることで、私なりの仕事の仕方ができていると考えています。

自分の強みを見つめ直す

一つを極める生き方も、能力を掛け合わせる生き方も、どちらが正しいというものではありません。大切なのは、自分に合った方法で強みを見つけ出すことです。新しい能力を身につけることに加えて、すでに持っている能力や経験を見つめ直し、別の能力と組み合わせることで、大きな強みになるかもしれません。

La quaLab では、半導体製造技術や品質管理を中心に、技術コンサルティングや教育活動を行っています。研究と現場の経験を掛け合わせ、最新技術を品質向上につなげるお手伝いをしています。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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