検査で飲んでいるのは硫酸バリウム
健康診断の胃のX線検査で飲む白い液体は、一般に「バリウム」と呼ばれていますが、金属のバリウムではありません。正確には、硫酸バリウムという化合物を水などに混ぜたものです。ヨーグルト味や苺味といった味付けができるのも、そのためです。
硫酸バリウムには、X線を通しにくいという性質があります。そのため、X線写真では白く映ります。胃はそのまま撮影しても内側の細かな凹凸が見分けにくいため、硫酸バリウムを胃の内部に薄く付着させ、表面の様子を見えやすくしています。
二重造影法と、体を回転させる理由
検査では、硫酸バリウムとあわせて発泡剤を飲みます。発泡剤はガスを発生させて胃を内側から膨らませます。そこに硫酸バリウムを薄く広げる、この組み合わせが胃の表面を調べやすくしています。これを二重造影法と呼びます。
検査台の上で体を右へ左へと動かすのは、胃のさまざまな面に硫酸バリウムを広げたり、撮影する角度を変えたりするためです。胃の表面に小さな凹みや盛り上がりがあると、バリウムの溜まり方や画像に映る輪郭が変わりやすくなります。その違いを見つけ、必要に応じて胃カメラなどの詳しい検査につなげるのが、この検査の役割です。
材料の性質の組み合わせで選ばれている
検査の目的や状況によっては、ヨードを含む別の造影剤が使われることもあります。そのなかで硫酸バリウムが一般的に使われているのは、X線に映りやすいことに加え、胃や腸からほとんど吸収されず、検査後に便として排出されることも理由とされています。胃の内側を覆い、その表面を映す用途に適しているのです。
つまり、単に白く映ればよいわけではありません。X線によく映ること、胃の表面にうまく広がること、体の中でどう振る舞うか。こうした性質の組み合わせによって材料が選ばれています。硫酸バリウムが消化管のX線検査に使われ始めたのは100年以上前とされ、その間に材料だけでなく、撮影装置や撮影方法にも改善が重ねられてきたと考えられます。
アメリカと日本・韓国の違い
アメリカにも、バリウムを飲んで食道や胃を撮影する検査はあり、食道がんなどの症状の原因を調べるために使われています。ただし、日本のように健康診断で定期的に受けるものではないようです。アメリカでは日本などのアジアの国々に比べて胃がんが少なく、平均的なリスクの人を対象に定期的な胃がん検査を行うことが一般的ではないためと考えられます。
一方、日本や韓国には国の胃がん検診の仕組みがあり、日本ではバリウムを使うX線検査と胃カメラが検診の選択肢になっています。同じ検査でも、どのような場面で使うかは国によって異なります。
なお、硫酸バリウムは体にほとんど吸収されませんが、便秘や、まれに腸閉塞などのリスクがあり、X線による被曝も伴います。検査後に異常があれば、医療機関にご相談ください。
身近な検査にも材料の工夫がある
毎年の健康診断で何気なく受けている検査にも、材料の性質をうまく使う工夫があります。材料の性質を理解し、目的に合わせて組み合わせるという考え方は、ものづくりの現場にも通じるものです。
La quaLab では、最新技術を品質向上につなげることを目指して、品質管理の講習や、ものづくりの技術課題に関するご相談を承っています。現場でのお困り事がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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