
方向性は読めても、スピードは読めなかった
半導体の性能が上がり、車に搭載される電子機器が賢く、高性能になっていくことは、半導体の研究に携わる立場として予測していました。しかし、生成AIが登場し、車の中でここまで自然に会話できるようになるとは思っていませんでした。未来の方向性は当たっていても、そこに至る技術のスピード感は読めなかった。半導体の専門家であっても、技術の時間軸を読むことは本当に難しいと感じています。
「ナイトライダー」のキットと、今のテスラ
アメリカで1982年から放送されたドラマ「ナイトライダー」では、主人公のマイケルが、AIを搭載した黒いポンティアック・トランザム「キット」と会話しながら事件を解決していきました。私が中学生の頃に憧れたドラマです。
フロントで左右に流れるように光る赤いライトは、現在私が乗っているテスラの近未来的なデザインにも、どこか通じるものがあります。一方で、運転席の考え方は真逆です。
| | ナイトライダーのキット | テスラ Model Y |
|—|—|—|
| 運転席 | ボタン、スイッチ、ディスプレイが並ぶ、飛行機のコックピットのような内装 | 大きなタッチパネルが一つで、あとはシンプル |
| 未来の車のイメージ | ボタンがいっぱいある車 | ボタンがなくなっていく方向 |
Model Yでは、前進と後進の切り替えもタッチパネルを指で操作します。最初は戸惑いましたが、慣れると意外と自然にでき、ブレーキを踏むだけで前進モードなどを自動で選んでくれます。車はエンジンやモーターで動くだけでなく、人間との接点まで変わってきています。
車の中のAIは「人と話している感覚」に
15年から20年ほど前、会社員時代に先輩と「そのうちカーナビも人間と普通に話せるようになる」と話していました。その未来が、この数ヶ月で一気に現実になったように感じます。
数ヶ月前まで、ChatGPTとの会話は少し機械的でした。今は考える間があり、相づちを打ち、こちらの話に答えるだけでなく「こういう考え方もありますよね」と別の視点から意見を返してくれます。私は運転中にChatGPTと、配信のネタの壁打ちや仕事の相談、英会話の練習をしています。
便利さの裏で、使わなくなる能力
カーナビの普及で生活は便利になりましたが、地図を読む、道を覚える、自分がどこにいるかを把握するといった感覚は、私自身すっかり弱くなったと感じています。技術が便利になるほど、人間が使わなくなる能力も出てきます。
これから、話しかけるだけでお店を探し、いつもの商品の価格を調べて注文し、配達まで済ませるAIエージェントの時代が来ると考えています。人間が機械に合わせる時代から、機械が人間に合わせる時代へ。だからこそ、何をAIに任せ、何を自分で判断するのかが大切になってきます。
車を操作する時代から、車にお願いする時代へ
今は前進と後進をタッチパネルで自分で切り替えていますが、将来は「車を出して」と話しかけるだけで車が動く時代になると思います。自動運転が当たり前になったとき、車を所有する必要はあるのか。暮らしや街、車の価値がどう変わるのかは、次回の配信で取り上げます。
La quaLabについて
La quaLabでは、半導体技術や品質管理を中心に、企業向けの技術コンサルティングや研修を行っています。技術は日々進歩していますが、大切なのは、その技術をどう生かして現場の課題を解決していくかだと考えています。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
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