原発は必要なのか ―AIで増える電力需要と、電気を安定してつくることの難しさ


原発に賛成か反対か、だけでは答えが出ない

エネルギー問題には、簡単に出せる答えはありません。原発に賛成か反対かも大切ですが、電気をどうやって安定してつくり、環境への負荷をどう減らしていくのかまで考える必要があります。どの発電方法にもメリットとデメリットがあり、これからも複数の技術を組み合わせて電気をつくっていくことになると考えています。

AIで増える電力需要と、次世代原発

2026年11月2日の日本経済新聞に「次世代原発、米が頼みの綱」という記事が掲載されました。三菱重工業や日本製鋼所などの日本企業は原子力発電に必要な高度な技術を持っているものの、国内では新しい原発の建設が進まず、アメリカの次世代原発への投資に期待しているという内容です。背景には、生成 AI を動かすデータセンターによる電力需要の増加があります。AI で便利になるほど、電気の重要性は高まっています。ただし、次世代の原発にも、安全性や建築費、規制など、解決すべき課題が残っています。

電気を学ぶ学生ほど、安定供給の難しさを知っている

大学で電気を教えている学生たちに原発への賛否を聞くと、1年生では賛成が半分ぐらいですが、3年生ぐらいになると9割以上が賛成と答えます。正式な世論調査ではありませんが、一般の世論調査とはかなり違う印象です。電気を学び、火力発電所の見学で大量の石炭が運び込まれ、燃やされて電気になる様子を見ることで、安定して電力を供給する難しさを理解するからではないかと考えています。スイッチを押せば使える電気の裏側には、膨大な設備と燃料があります。

震災後に足りなかった議論

2011年の東日本大震災で福島第一原子力発電所の事故が起き、原発への不安が高まりました。安全性を厳しく問うことは必然で重要です。一方で、原発の停止によって火力発電への依存が高まり、二酸化炭素(CO2)の排出量が大きな問題となって、海外から批判も受けました。原発を止めるのも一つの選択肢ですが、その後の電気をどうつくるのかとセットで考える必要があります。

再生可能エネルギーと核融合発電の課題

太陽光発電は、平地の少ない日本では山の斜面や使われなくなった農地に設置されることが多く、景観、森林伐採、土砂災害が問題になっています。風力発電も景観や騒音の問題を抱え、人には聞こえにくい低周波の騒音が人体に悪影響を及ぼすという研究結果もあります。さらに、太陽光や風力は天候によって発電量が変わりますが、電気は必要な時に必要な量を供給しなければなりません。

核融合発電は将来の電力供給を大きく変える可能性を持つ技術ですが、超高温のプラズマを制御して安定して電力を取り出すには、多くの課題が残っています。研究が進むことと、商用発電所として安定して電気を供給することは別の話です。

技術的な現実を知った上で考える

私たちは、もう電気のない世界には戻れません。だからこそ、雰囲気やイメージだけではなく、技術的な現実を知った上で、エネルギーの未来を考えていきたいと思います。

La quaLab では、最新技術を品質向上につなげるための技術コンサルティングや企業研修を行っています。半導体製造技術や品質管理を中心に企業の技術課題の解決をお手伝いし、QC 検定の対策やオンライン講座など、技術者の人材育成にも取り組んでいます。お気軽にお問い合わせください。

この記事の内容は、プロフェッサーブローの音声番組・動画でもお聴きいただけます。

YouTube:https://www.youtube.com/@prof.browqc5084
Spotify:https://open.spotify.com/show/6wCyDsgU4CPeTdsFru1dZj
note:https://note.com/brow1967
Substack:https://substack.com/@brow54
愛知工業大学 清家研究室:https://www.seikelab.com/
お問い合わせ:info@laqualab.com