
「先生」と呼ばれることと、尊敬されることは同じではない
日本語の「先生」は、尊敬を表す言葉であり、社会的な立場を表す言葉でもあります。そして、相手の名前を思い出せない時に助けてくれる便利な言葉でもあります。ただし、先生と呼ばれることと、本当に尊敬されることは、必ずしも同じではありません。肩書きではなく、その人の人柄によって自然に尊敬される。本来はそういうものだと考えています。
「ブロー部長」から「ブロー先生」へ
私はメーカーで26年間働いたのち、大学の教員になりました。会社では「ブローさん」「ブロー部長」と呼ばれていましたが、大学教員になった途端に「ブロー先生」に変わりました。最初は嬉しく感じたものの、呼び方一つで気分が変わることに驚きもしました。
今でも慣れないのは、以前勤めていた会社の社長や上司だった方から「先生」と呼ばれることです。共同研究などで一緒に仕事をする機会がありますが、本人は昔と同じでも、立場が変わるだけで呼び名が変わります。
幅広い職業を「先生」と呼ぶ日本の文化
日本では、政治家、医師、弁護士、小中高・大学の教員、ときには芸術家や作家まで「先生」と呼ばれます。この言葉には、職業上の呼び名を超えて、尊敬や威厳のようなものが含まれているように感じます。
| | 日本 | アメリカ(私の滞在経験から) |
|—|—|—|
| 大学の教授 | 先生 | Professor |
| 医師 | 先生 | Doctor |
| 政治家 | 先生 | Senator、Representative など |
| 大学の教員同士 | 「○○先生」と呼ぶことが多い | ファーストネームで呼び合うのが一般的。学生が教授をファーストネームで呼ぶことも多い |
名前を忘れた時に助けてくれる「先生」
学会や研究会で、数年ぶり、何十年ぶりに会った方の名前が出てこないことがあります。そんな時、「先生、お久しぶりです」と声をかければ、失礼にならず、むしろ丁寧な呼び方になります。もちろん相手が先生と呼ばれる立場であることが前提ですが、学会のような場であれば、企業の方を「先生」と呼んでも失礼ではないと考えています。誰にでも使えるこうした言葉は、アメリカにはおそらくありません。日本語の「先生」の意外な強みといえるかもしれません。
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