海底ケーブルが切られたらインターネットはどうなる? ―保護技術・地理的な弱点・冗長化から考える通信インフラの安全性


壊れないものだけでなく、壊れても止まらない仕組みを
世界中のインターネットは、海の底を通るケーブルによって支えられています。海底ケーブルは漁具や錨などで切れることがあり、意図的な切断が疑われる事件も起きています。大切なのは、絶対に壊れないものを作ることだけではなく、たとえ壊れても社会が止まらない仕組みを作ること。これは通信インフラに限らず、ものづくりや品質管理にも共通する考え方です。
地球を約11周する海底ケーブル
テレビ東京の「モーニングサテライト」で、NECグループが製造している海底通信ケーブルが紹介されました。NECがこれまでに敷設してきた海底ケーブルは累計45万km、地球を約11周する長さだそうです。日本で海底光通信ケーブルを製造しているのは、北九州市にある NEC グループの OCC です。日本の技術が、世界中の通信を支えています。
故障の原因と保護技術
世界では、海底ケーブルの故障が年間150件から200件程度発生しているそうです。原因の多くは、漁船の漁具や船の錨などによるものです。
そのため、海底ケーブルにはさまざまな保護技術が使われています。光ファイバーの周囲を鋼鉄のワイヤーで補強する技術や、錨などが接触しやすい浅い海でケーブルそのものを海底に埋める方法です。深い海よりも、人間の活動が多い浅い海の方で頑丈なケーブルを使うという点は興味深いところです。
それでも切れた場合は、光を使った測定技術などで故障の位置を推定し、専用の修理船で海底からケーブルを引き上げて修理します。ただし、修理には何週間もかかるようです。
通信インフラの地理的な弱点
海底ケーブルが意図的に切断されたのではないかと疑われる事件も起きています。ただし、本当に国家が指示したかどうかは証明されておらず、事故なのか意図的な破壊なのかを証明するのは簡単ではありません。
国際通信の接続地点は特定の地域に集中するため、通信インフラには地理的な弱点があります。インターネットは金融取引、企業活動、物流、AI など社会のあらゆるところで使われており、1本の切断で全体が止まるわけではないものの、重要な通信ルートが同時に失われれば、社会活動に大きな影響が出ます。
衛星通信と冗長化
解決策の一つとして、人工衛星を使ってインターネットに接続するスペースXのスターリンクがあります。海底ケーブルが使えなくなっても、衛星を通じて通信できる可能性があります。一方で、電波妨害や衛星への攻撃の可能性という弱点があり、海底ケーブルの膨大な通信量を置き換えることもまだ難しいのが現状です。
そこで重要になるのが、複数の通信手段の組み合わせです。海底ケーブルを複数のルートに分散し、さらに衛星通信も利用する。一つの手段が使えなくなっても、別の手段で通信を維持できるようにする。これを冗長化と呼びます。
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