コカ・コーラとペプシに学ぶ企業戦略 ―売上・利益率・ブランドから見る「品質だけでは売れない」理由


40年続いた取引の切り替えが示すもの

日本経済新聞に、アメリカのケンタッキーフライドチキン(KFC)が、長年取り扱ってきたペプシからコカ・コーラに切り替えるという小さな記事が載りました。ペプシとの取引は40年間続いていたそうです。これだけ長い取引関係を変える背景には、ブランドだけでなく、価格や契約、物流など、さまざまな要因が関係していると考えられます。

コカ・コーラとペプシは、どちらも薬剤師が作った飲み物で、薬局から始まっています。コカ・コーラは1886年にジョージア州で、ペプシは1893年にノースカロライナ州で誕生しました。同じアメリカで同じ時期に生まれた2つの飲み物が、赤と青のブランドとして、130年以上経った今も世界中で競争を続けています。

売上の大きさと利益率の高さは別もの

2025年の売上高は、コカ・コーラ社が約479億ドル、ペプシコが約939億ドルで、ペプシコが約2倍です。ペプシコは飲料だけでなく、レイズ(ポテトチップス)やドリトス(トルティーヤチップス)などのスナック菓子も扱っています。

一方、利益率はコカ・コーラが約29%、ペプシコが約12%で、今度はコカ・コーラ社が約2倍になります。コカ・コーラ社は原液の供給とブランドの管理を中心に、世界各地のボトリング会社と協力する形をとっています。ペプシコは商品の製造や物流まで幅広く手掛けています。売上が大きいことと利益率が高いことは、全くイコールではありません。ビジネスモデルの違いが、数字にはっきり表れています。

健康志向に合わせて変わる商品

アメリカでは2006年頃、肥満や糖分の過剰摂取が社会問題となり、学校内で砂糖入りの炭酸飲料の販売を抑制する動きがありました。2025年には、コカ・コーラに使われているトウモロコシ由来の甘味料をサトウキビ由来の砂糖に変えるよう、トランプ大統領が働きかけたことも話題になりました。ただし、砂糖の種類を変えても健康的になるわけではありません。

その中で伸びているのがゼロシュガーの商品です。2025年、コカ・コーラのゼロシュガーの世界販売数は前年比14%増加しました。消費者の健康志向に合わせて、企業も商品を変えています。

品質だけでは物は売れない ―デザインとブランドの力

コカ・コーラの赤いロゴ、筆記体のような独自の文字、くびれのある瓶の形。商品名がなくても、それと分かります。あの独特な瓶のデザインは1915年に考案されたもので、100年以上前から、他の商品と区別できるデザインを大切にしてきたことになります。

私は以前、メーカーで働いていました。その経験からも、製品の品質がもちろん大切であることは間違いありません。しかし、品質だけでは物は売れません。デザインやブランド力が商品の価値を高めることもあります。実際、売上ではペプシコが約2倍大きいにもかかわらず、株式市場ではコカ・コーラ社の方が高く評価されています。

味だけでなく、健康、ブランド、デザイン、そしてビジネスモデル。さまざまな要素が企業の競争力を決めています。

La quaLabについて

La quaLabでは、半導体や電子デバイスの製造技術、品質向上に関する技術支援や教育活動を行っています。大学での研究と企業での実務経験を活かして、技術と現場をつなぐ活動を続けています。ご関心のある方は、本サイトのお問い合わせからお気軽にご連絡ください。

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